風の盆前夜祭期間中、その日はヒガシシン町が前夜祭だった。
メガネ橋詰にある玩具店のおじちゃんと話していると、シタシン町
通りの坂から下ってきた車の運転手に、訪ねられた。
「ヒガシシン町って、どこですか?」
・・・瞬きを数回、でも知らないのだから仕方がないと思い直して
「このまま進まれると、逆に離れちゃいます。今下りてこられた坂
を上がり返してください。途中でまた人に聞かれるといいです」
前夜祭中、カマテ町内の通りは通行止めだから、イヤでも警備員に
止められるので、聞ける・・・よね?
9月1日、演舞場出演を終えた時だった。
自支部に戻るためヒガシ町通りを通ると「ずっと待っているのに、
ヒガシ町はちっとも踊ってくれない。いつ踊ってくれるのっ?」
と観光客に責められたMちゃん。
自支部の次に演舞場で出演するのは、ヒガシ町。まさに出演中。
いやそれより、通り掛かった他支部人を責められてもなぁ。
だって、ずっと待っていると云うヒガシ町公民館前なんだもん。
留守居しているヒガシ町支部人に云おうよ。本当に待ってた?
9月3日の日中、フクジマの湯から帰る時だった。
ジュウサンゴク橋で、駅からきたと思われる観光客に訪ねられた。
「ノヅミ郵便局は、どこですか?」
・・・ノヅミ? 本当にノヅミ?
重ねて聞き返したが、待ち合わせ場所なのだと返される。
知らないのに、旧町から歩いていけないと思うよ。というか無理。
「歩いて行ける距離じゃないから、タクシーがいいですよ」
なのに訪ねた当人は無視して、シタシン町の坂を上がって行った。
・・・聞くなよ。気になるじゃないか。