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きりぎりすぴ〜く 44

本当に、くっだらない不安と恐怖が浮き沈みした。

ミナサマも薄々感じていたと思う。
きりきり父さんの認知症状の進行は、かなり早い。

1月下旬に、きりきり父さんの介護度が2から4へ上がった。

きりきり父さんの母親や兄達も、同病状を発症。
アルツハイマー型認知症は遺伝的要因は少し影響するそうなので、
きりまゆんも発症する確率が高いと思うと、不安と恐怖に襲われて
覚える事柄が多い勤務先を辞めようかとも悩んだ。

きりきり母さんも心労からか、覚える行為を拒むようになり、車の
運転以外の事柄は、きりまゆんに頼ってくる。

オワラ以外の道楽がないのに、きりきり父さんは、もう唄えない。
やりきれなくて、きりまゆんは練習に顔を出したくなくなった。

色々と、ぐちゃぐちゃバカみたいに落ち込むだけ落ち込んだらね。
今は、浮き沈みは落ち着いてきてね。心も楽になった。
ま、不安と恐怖は完全には消滅してなくて、吹っ切れた訳でもない
けれど、先週の練習には顔を出して、唄ってきたよ。

そろそろ2013年の余情を、再開と完結させなきゃ。

きりぎりすぴ〜く 43

年末に新しい入歯も完成して、入歯騒動は鎮火、一件落着。
腹減った騒動は全く治まらないけれど、きりきり兄さん1号も年末
年始休暇で帰巣したから、とても心強い年末年始だった。

きりきり父さんはショートステイで集団生活に慣れたのか、みんな
と一緒に食事を摂りたがるが、きりきり父さんの腹減った騒動には
きりまゆん達は合わせられるはずもなく・・・。
炊飯器にある御飯は全部食べたがるし、一緒のモノを食べたがる。
たとえ駄菓子であっても、相手が甥っ子達であっても、ひとつくれ
と云って、何度も欲してくる。
きりきり父さんが食べてしまって、きりまゆん達の分がなくなった
時は、別のモノを食べたり作り直したりしても、また食べたがる。

就寝も同じ。みんなが就寝しないと、自分の寝床に入らないため、
きりまゆん達は先に寝たフリをする。
そのまま眠りに就いてしまう日もあった。
施設での規則正しい生活は、きりまゆん達にはちょっと辛い(笑)。

また、1月からショートステイの利用先を変更した。
今まで利用していた施設は、一人暮らしの健常高齢者が冬季の間を
入所利用するという、いわゆる「越冬隊」で満室というのもあるが、
どういう訳だか、前月にその越冬隊の方ときりきり父さんは同室に
され、ちょっとしたトラブルが起き、印象が悪くなったから。
きりきり父さんが蔑ろに扱われたようで不快に感じた。
きりきり父さんも快適に過ごしてほしい。

新しい施設は、隣区域でちょっと遠いけれど、まずまずの好印象。

きりぎりすぴ〜く 42

 ※地元語のまま会話を表記。
 父=きりきり父さん ま=きりまゆん

12月も20日の長期ショートステイを利用。
利用中には、きりきり父さんの誕生日もあったので、連れて帰って
ほしいと強請られないか懸念しながらも面会に行った。
寒がっていると思い、裏地が暖かいパーカーのプレゼント持参で。

きりきり父さんの様子は、とても穏やかだった。
父:「何しに来たんよ」
ま:「今日は父さんの誕生日だねか」
父:「そいがか、今日は誕生日か」

自分の誕生日は覚えているも、当日の日付は解らない様子。

ま:「はい、これプレゼントだよ」
父:「ありがと、ありがと。でも忘れるで、持って帰って」
ま:「・・・え〜!」

面会で初めてショートステイ先の施設に行ったが、フロアも廊下も
暖房が効いていて、確かに上着が要らない。
そして再び、何しに来たんだ、と云う会話が数回繰り返す。

プレゼントも介護スタッフに託して、引き上げた。
結局、連れて帰ってと強請られるコトもなく、手を振って見送って
くれた、きりきり父さん。
決められた日までは施設で生活しなくちゃいけないというコトを、
納得しているようだ。穏やかなきりきり父さんを様子を見て、施設
の生活は、きりきり父さんにとっても快適なのカモしれない。

きりぎりすぴ〜く 41

きりまゆんは、両親ふたりだけにしておけず、頻繁に欠勤するよう
になった。上司にも状況を伝えた上で、辞職勧告を受けてもよいと
告げていたが、自分も認知症のご家族の介護に大変だったから理解
できる、と快く擁護してくれる。
それでも、寛大な人ばかりではないのも確かで、不平不満を抱く人
もいるからと、別の上司から注意を受けた。
その時は咄嗟に、介護経験がない人には理解できないだろうから、
そんな人から何を云われても構わないと、啖呵を切った。

きりきり母さんはそれを知って、悔しかったらしい。
きりきり母さん自身もめまいに襲われて辛いだろうに、朝は気丈に
振る舞いながらも、(残業はしないで)早く帰ってきてねと、云って
きりまゆんを送り出そうとする。

きりきり父さんは一時、正気?を取り戻したコトがあった。
何も判らなくなった、頭がおかしい、と云って、自分の頭を何度も
小突いたり、忘れないよう息子達の名前を何度も口にしていた。
古い記憶は覚えてても、新しい記憶は覚えられない。
同居していても、末っ子きりまゆんは最初に忘れられるだろう。
だからか、とうとう別名で呼ばれる時がある。
それは、きりきり父さんにとっては姪、きりまゆんにとっては伯父
の長女に当たる人の名前だった。

ショートステイを利用するようになって、きりきり父さんは一人に
なるのが寂しいのか、通院や買い出しなどは、嫌がらず拒まず外出
に応じるようにもなった。歩行中は、手も繋いでくる。

別名で呼ばれるのは、正直ちょっと哀しいけれど、手を繋がれると
頼りにしてくれているようで、気持ちはプラスマイナスぜろ・・・
にしておこうかな。

きりぎりすぴ〜く 40

 ※地元語のまま会話を表記。
 父=きりきり父さん ま=きりまゆん

11月のショートステイから戻って、12月のショートステイ利用日
まで、再び介護奮闘の二週間。

もしかしたら歯科医院の選択を誤ったカモしれない。
認知症患者の治療経験がないのか、きりきり父さんに対して歯科医
は恐る恐るな態度で、型取りの失敗が多く、何度も型の取り直しで
新しい入歯がなかなか完成しない。

おかげで入歯騒動は続いた。
着けてあげても、すぐ外してしまう。
着けてほしいと懇願してくるので仕方なく応じても、すぐ外す。
そのうち、入歯は自分自身の本物の歯なんだと解釈する時もあって
外れるコトに疑問を抱いたようで、きりまゆん達の歯はどうなのか
見せてほしいと迫ってくる時もあった。

ま:「まゆんの歯は、入歯じゃないから外れんちゃ」
父:「オワのも自分の歯だちゃ、どうしとんがよ」

余裕をもてなくて、まともに応えてしまったが、「どうしとんがよ」
とは、就寝前に入歯を外したり洗浄したりが理解できないらしい。

入歯騒動が落ち着いても、今度は腹減った騒動。
その繰り返しの日々。
きりまゆんが勤務先から帰ると、両親が取っ組み合いをしていた日
かあった。きりきり母さん曰く、きりきり父さんに首を絞められた
そうだ。入歯の着け外しが数十回、入歯安定剤も使いきってしまい
きりきり父さんの要求に応えられなくなったのが発端だった。

きりぎりすぴ〜く 39

10月以降の介護録を、簡潔に記す。

10月中旬に、きりまゆんは何らかの課税がもしかしたら増えるカモ
程度なデメリットなので、世帯分離の手続きを済ませた。

その後すぐ、きりきり父さんには一週間のショートステイに行って
もらい、きりきり兄さん1号はテレビ電話越しで、きりきり兄さん
2号世帯も一緒に、ケアマネから施設入所の説明を受け、特養申請
と長期ショートステイの手続きをした。

10月末に主治医と相談、きりきり父さんの服用薬を少し変えた。
もの忘れの進行をおさえる薬は、きりきり父さんにとって、強いと
感情のコントロールが困難になっていると思え、進行をおさえる薬
を弱めてもらい、気分を落ち着かせる薬を処方してもらった。

11月は約20日間ほどショートステイを利用した。
その間、きりきり母さんときりまゆんは、じっくり静養できたが、
長期間だったせいか帰巣後のきりきり父さんは、自巣に帰った自覚
がないのか、帰りたいから出してくれ騒動を起こした。
真夜中だった、「怪しい者じゃないが、出口をおしえて」と。
きりきり母さんは起こされるも朦朧としているため、即応対できず
モタモタしているうちに、きりきり父さんは裏口から出て行った。
きりまゆんは2階の自室でまだ寝ていたが、きりきり父さんが自巣
の窓や玄関戸を外からドンドンと叩いている音で目が覚めた。
きりきり父さんは裏口から出たのに、その時はじめて自巣だと理解
できたが、今度は入り方が解らなくなったようだ。
きりまゆんは玄関の鍵を開け、きりきり父さんを巣内に入れた。
夜中だったけれど、屋外で叫んだり怒鳴ったりする行為はなかった
から、怒らず責めず、寝付くまできりきり父さんを見守った。
その後2・3日は日中、自巣の廻りを何度も徘徊していた。

きりぎりすぴ〜く 38

きりきり父さんは三ヶ月前まで、自分で入歯の付け外しができたが
今では解らなくなっており、自分で付けれなくなっている。
入歯を付けてほしくて、きりきり母さんやきりまゆんを頼ってくる
が、付けてあげても時間が経たないうちに、すぐ外してしまう。
それを一日何度も繰り返す日々だった。
就寝する前も、洗浄するため外した入歯を洗面所においているが、
入歯が気になるきりきり父さんは、洗面所とトイレと自分の部屋を
何度も徘徊する毎夜だった。自分の枕元に置いている朝もあった。

きりまゆんは今になって、ようやく気が付いた。
入歯が合わなくなっているじゃないかって。
早速、歯医者で診てもらうと、やっぱり合わなくなっていた。
新しい入歯は早期で作ってもらえる。
通じなくても、きりきり父さんに謝りたくなった。
ごめんね、父さん。もっと早く気付いてあげれなくて。もっと早く
気付けば苦労しなかったのにね。デイサービスとショートステイの
介護スタッフにも苦労かけなかったのにね。ごめんね、お父さん。
きりきり父さんは穏やかな表情で「はい、はい」と応えてくれた。


きりきり父さんは三ヶ月前まで、小一時間程度なら一人で留守番が
できたが、今では片時も目が離せなくなっているので、食料調達の
買い出しに行くのも、連れ添っている。

以前なら、歩調を合わせても頼りないからか、きりまゆんとは手を
繋ぐのを拒んでいた、きりきり父さん。
それが今では、きりまゆんとも手を繋いでくれるようになった。
きりきり父さんの手はごっついけれど、なんだか和んだ。

きりぎりすぴ〜く 37

 ※地元語のまま会話を表記。
 父=きりきり父さん 母=きりきり母さん ま=きりまゆん

両親ときりまゆんが夕食中。

父:「どうなったやら、オラおかしい」
きりきり父さんは、お腹をさすりながら云い出した。
ま:「どうしたんけ?」
父:「ちっとも腹いっぱいにならんがよ」
またかと思った。
父:「オラ、病気だわ」
そう云うと立ち上がり、居間にある仏壇の扉を開けた。
母:「何しとんがいね?」
仏壇の扉できりきり父さんが隠れ、きりきり母さんには見えない。
ま:「仏壇に向かって、手ぇ合わせとるわ」

仏壇の前と台所を数回行ったり来たりした後、今度は外へ出て行く
ので、慌てて追いかけた。御飯をねだりに他所宅へ行くかと焦った
けれど、きりぎり巣隣のお地蔵さんに手を合せていた。

ま:「どうしたん、父さん? 御飯食べとる最中だよ?」
父:「おお。御飯食べとるがに、腹が膨れんがよ」
ま:「それで、手合せとるが?」
父:「おかしい。腹、膨れんもん。病気だわ」
ま:「腹が膨れた信号が、頭に送れなくなってる病気だからだよ」
もしかして、また病院へ連れて行けと騒ぐのかと懸念して、そんな
説明をしたけれど、理解してくれる訳でもなく、再び仏壇の前へ。

母:「茶碗に御飯残っとるよ。充分拝んだから、もう食べられ」
父:「な〜ん。拝んどる訳じゃないがよ。腹、膨れんがよ」

今夜はいつもと違う様子の、きりきり父さん。
でも仏壇とお地蔵さんに手を合せるのは、諌めるのもバチ当たりな
気がして、寝付いてくれるまで、また長い時間を費やした。
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